こだわりをカタチに

床波駅note

ペパクラにまつわるいろいろな考察

古くからある町、床波にある駅。

今昔マップ*Dの古い地図にもしっかり街区が記載されており、港、学校、郵便局、神社やお寺があり、線路敷設以前よりしっかりと町の機能を有していたのは間違いない。

線路という特性上、高低差のあまり強くない海岸線近くを通すにあたって、旅客を望める床波の街区は外せない場所だったはずである。(大正12年宇部新川~床波間開業)*E1

とはいえ、上りの線路はこの先ところどころ地面より下を走っており、敷設当時は大変な工事だったろう。

そんな床波駅は、当初より旅客駅たる立派な駅だったと思われる。

注釈:(昭和37年貨物取扱い廃止(旅客駅となる))*E2抜粋

建築年不明の木造駅舎で、構造は宇部岬駅や岩鼻駅と基本的に同じである。

特徴的なのが正面入り口の軒だけを伸ばした姿である。

それでいて違和感なく、むしろ黒い瓦屋根が光をとらえ、つややかに光るその表情をより美しく見せつけているようでもある。

増築されたとおぼしき箇所が正面側に二カ所あり、物の本*A2にある昭和52年以前の写真にはすでにそれが確認でき、より古い時代から設けられたようである。

全体的に外観上の痛みも少なく、綺麗にまとまっていて、木造駅舎の美しさに輝いている。

なお、駅舎とホームの床面は二段差ほどホームの方が高くなっており、ホームの高さ調整がなされる以前の建築年と思われるが、建築年の特定には至らない。

設計のポイント

実物の作りが比較的わかりやすい構造で、本模型においてもそれが言えるので、作ること自体を楽しめるほどよい駅舎と思います。

ホームと駅舎の床面は二段ほど段差があり、加えてスロープも含めて再現できるようにしています。

かつて駅舎正面には広く立派な植栽があったようで、灯籠を含め前庭が広がっていたのが古い写真にありました。

往時のそれをミニチュアで再現するのもおもしろいと思います。

ちなみに、現在過去と好きなように加工表現できるように、今現在の壁面はあえて再現していません。

引用文献

参考書籍・映像・インターネットサイト各種を下記列挙
注記:資料名最後の括弧内文字を付しているものについては、宇部市立図書館での閲覧が可能であり、その請求記号となります。(2022年9月執筆時点)

*A1 「駅長さんの書いた駅名ものがたり」 発行年:昭和五十二年 P.331 [Y0686 エ]

*A2 P.339

*A3 P.339

*A4 P.334

*A5 P.325

*B 「保存版 ふるさと宇部」 発行年:2011年 P.170 [U210 フ]

*C1 「宇部地方研究 第三一・三十二号 写真で見る大正期の宇部」 発行年:平成16年 P.55 [U210 ウ]

*C2 P.17

*D インターネットサイト「今昔(こんじゃく)マップ on the web」 (C)谷 謙二

*E1 「宇部線物語」 発行年:昭和50年辺り(明確な記載なし) P.40 [U686 ウ]

*E2 P.41

*E3 P.3

*E4 P.16

*F 「宇部鉄道 沿線名所案内」 発行年:昭和十二年 [U686 ウ]

*G 「駅舎国鉄時代1980’s」 発行年:2022年 P.56 [U686 ハ]

*H1 「ふるさとの想い出 写真集 明治大正昭和宇部」 発行年:昭和54年 P.30 [U210 シ]

*H2 14に同じ P.51

*I 「目でみる宇部の歴史」 発行年:昭和36年 P.51 [U210 メ]

*J1 「写真アルバム 宇部・山陽小野田の昭和」 発行年:2018年 P.103 [U210 ウ]

*J2 P.12

*J3 P.203

*K NHK「課外授業ようこそ先輩 出会いをアニメで記録しよう」銀天街屋根上での部分

*L 「ふるさと歴史散歩 宇部」 発行年:平成6年 P.61 [U210 ク]

*M 「目でみる神原の歴史」 発行年:昭和五十六年 P.13 [U210 メ]

*N 「宇部戦前史 一九三一年以後」 発行年:昭和五十年  P.111 [U210 ヤ]

*O 「宇部市史 通史篇」 発行年:平成五年 P.453 [U210 ウ2]

*P 「宇部市史 通史篇」 発行年:昭和四十一年 P.712 [U210 ウ]

*Q 「写真記録 日本の駅」 発行年:2009年 P.399 [Y0686 ニ]

*R 「宇部大空襲 戦災50年目の真実」 発行年1995年 最初項 [U210 ウ]