ペパクラにまつわるいろいろな考察

沿線案内*Fによると、名所として「岩鼻公園　岩鼻驛より一〇〇米　櫻名所」とある。

今でこそ真締川にかかる鉄橋・新川橋梁そばの公園やときわ公園*H2など宇部沿線の桜の名所はたくさんあるが、その当時桜と花見客で賑わっていたのではないだろうか。

鉄道での小旅行にはうってつけの、藤山村が誇る公園だったろうと想像する。

宇部市HPには「東の常盤公園、西の岩鼻公園」と題し、「岩鼻公園は本市の西、JR岩鼻駅の北に隣接し、西のふもとには2級河川厚東川が流れ、厚東川河口部を望める公園です。南に傾斜し、起伏に富んでおり、桜や夕日の素晴らしい公園です。」とある。

そんな山の麓、斜面に並ぶ屋根に垣間見える緑の屋根が目印の、それが岩鼻駅である。

麓より若干高い位置にあり、厚東川の護岸よりもずいぶんと高い位置だ。

水害対策だろうか、なんだかの必然性があったと思える。

その鉄路に変遷はあったろうか？

地図で俯瞰してみる。

今昔マップ*Dをみれば、古い地図と現在の地図で厚東川鉄橋の曲がりが異なるのがわかる。

古い地図はおそらく創業時、国に申請し許可を得た鉄桁*E3の鉄橋と思われ、現在のコンクリート造の鉄橋の方はより緩やかな曲がりに変えられているのがわかる。*H1 *I

そして鉄路をたどると、より目を引くものがあるのに気づくはずだ。

岩鼻を出て次の駅が「ふじやま」「すけだ」そして「うべしんかわ」なのである。

やがて廃線となる旧宇部線がそこに描かれている。

現在居能町まで続く道路に線路跡の名残を感じることができ、岩鼻駅構内端に鎮座する巨大なコンクリート造の車止めを見れば、その先は今は無きノスタルジックな鉄路へつながっている。

そんな幾多の時代を見てきた岩鼻駅であるが、駅舎はとてもシンプルな構造である。

物の本*A3によれば、開設年は大正13年とあり、本阿知須駅（現阿知須駅）のほぼ一年後となっている。

駅舎にまつわる記述で「ホームを延ばして駅舎は少し東の現在地に移転した」*Pとあるが、曳家なのか新築なのかは不明。

屋根は現在スレート葺きであるが、物の本*Gの写真（撮影：昭和55年）を見れば瓦葺きであったことがわかる。

設計ポイント

ホーム上屋を忠実に再現しながらも、簡単に組み立てられるようにしてあるので、柱や梁の造形の美しさを楽しんで欲しいと思います。

また、壁面の補修箇所など現況を表現せず、こうであったろうという想像の元にシンプルなデザインとしています。

線路のカーブに伴いホームも湾曲しているものの、本設計では直線にしています。 妻側の正面入り口は坂道になっており、その一部は自転車置き場になっていますので、Nゲージの情景小物・自転車などと一緒に飾ってみてください。